‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜



 甚兵衛の体から、青白い焔がぼんやりと現れ始めた。




 甚兵衛の異能は、刀などの器物から理の戒めを超越した力を引き出すことである。




 それは、器物に多大な負担を強いる。




 時に、器物その物を破壊してしまう程に。




 そして、甚兵衛の異能が効果を発揮するのは、何も器物に限ったことではない。




 人の肉体でも、同じことが出来た。




 もちろん、器物の場合と同じように、それは人の肉体にも負担を強いる。




 それゆえに、甚兵衛は滅多にこの力を肉体には使わない。




 しかし、今は違う。




 自らの全てを御神刀に込めなければならない!




 そのため、甚兵衛は、己の肉体を理の戒めから解き放った。




 甚兵衛が、カッと目を開く。




 甚兵衛の漆黒の瞳が、青白く輝いていた。




 御神刀を横一文字に掲げた。




 左手を、刀身の根元にあるハバキを包み込むように当てた。




 そして、ゆっくりと左手を、切っ先に向けて滑らせていく。




 すると!




 甚兵衛の左手が通り過ぎた後の刀身が、金属質の物から、まるで水晶を鍛えたように透き通った物に変わっていった。




 水晶の刀身は、その内に、星辰の煌めきを宿していた。
< 414 / 445 >

この作品をシェア

pagetop