‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
 そして、ついにその刀身の全てが、水晶の刃に変わった。




 辺りの空気が、凜と引き締まる。




 それは、僅かに身じろぎするだけでも、空気が肌に突き刺さるようで、実際に痛みを感じそうな程だ。




 その時!




 甚兵衛の脳裏に、若い男の声が響いた。




 今まで聞いたことのない声なのに、甚兵衛にはそれが紛れも無く御神刀の声だと分かった。




 御神刀が謡うように言う・・・・・・。









『我は、天の法を知らしめし、世の理を知らしめす。


さあ、選べ。


汝の意志により、我は、討魔の一刀となりて、悪を討ち滅ぼさん』









 甚兵衛の体の奥底から力が込み上げてくる。




 とめどなく溢れ出してくる力に、恐怖を覚える程だった。




 その力に、甚兵衛の自我は翻弄され、流されそうになる。




 しかし甚兵衛は、力の奔流の、その方向に気が付いた。




 力は全て、一点に向かっている。




 御神刀だ。




 全ての力が、御神刀に注ぎ込まれているのだ。




「これなら、なんとか・・・・・・」




 力の方向さえ分かれば、甚兵衛にはその力を御することが出来そうだった。
< 415 / 445 >

この作品をシェア

pagetop