‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
 周りの者達も、甚兵衛の内面に、明らかな異変が起きたことを知覚していた。




 百葉でさえも、怯えたように、攻撃することを忘れている。




 彝経九郎も、じっと甚兵衛を見詰めていた。




 その顔は、強張っていた。




 脅威を感じているようでもあった。




 彝経九郎が、無意識に呟く。




「やはり・・・・・・。

あれは“継ぎ断ちの双刀”!」




 しかし、その呟きに気付いた者は、誰も居なかった。




「グォォォォッ!」




 百葉が夜空に向かって吠えた。




 夜気を震わす。




 自らを鼓舞する咆哮だ。




 それは、怯えであり、怒りであり、畏れであり、憎悪であった。




 両眼を真っ赤にたぎらせ、百葉が甚兵衛を襲う。




 百葉の腕が、甚兵衛を捉えようとした刹那、甚兵衛が御神刀を一振りした。




 すると、甚兵衛の一振りは、空間を裂いてしまった!




 百葉の腕が、まるで、虚空に飲み込まれたかのように、一瞬でこの世から消失した。




 百葉自身、我が身に何が起こったのか、理解出来ない程だ。




 しかし、自分の腕が、あるべき場所から消え失せていることに気付くと、悲鳴のような声を上げた。
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