‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
 恐慌をきたし、自棄になったように、もう一本の腕で甚兵衛に襲い掛かる。




 しかし、やはり甚兵衛が御神刀を一振りすると、その腕も、空に飲み込まれてしまった。




 百葉が、我を失う。




 ボコボコと、百葉の頭から、新たな腕が三本、四本と生じた。




「ぐあぁぁおぉぉぉ!」




 百葉が吠える。




 四本の腕を、めったやたらに振り回す。




 そして、あたかも地面に埋まった巨人が、身を乗り出すようにして、甚兵衛に噛み付き掛かった。




 甚兵衛は、百葉の腕を一本、二本と虚空に消失せしめた。




 そこへ、百葉の大口が迫ってきた。




 バクンッと百葉が噛み付く。




 甚兵衛が、その口に飲み込まれてしまった・・・・・・かに見えた。




 だが甚兵衛は、軽やかに空を翔けていた。




 星辰を宿す水晶の刃を一閃する。




 百葉の顔面ごと、空間を斬り裂く。




 百葉が、断末魔の叫びを上げようとした。




 だがしかし、それは叶わなかった。




 空間が裂けた一瞬の後には、そこに百葉は存在していなかった。




 まるで悪夢のような妖は、夢から醒めたかのように、その場から掻き消えていた。




「やった・・・・・・の?」




 凪が、恐る恐る口にする。
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