‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜



 彝経九郎が、甚兵衛の持つ御神刀を、鋭い眼差しで見ていた。




 だが、やがて視線を外すと、経輝のほうを向いた。




「経輝!

それでは我々も、そろそろ引き上げようか」




 経輝が、彝経九郎に頷き返す。




「そうですね」




 そう言うと、二人は、その場から立ち去ろうとした。




 しかし、断十郎が声を掛け、引き留める。




「すまねえが、ちょっと待ってくんねえか?」




 経輝が、振り返った。




「何ですか?」




 怪訝そうな経輝に、断十郎は言いにくそうにしながら、こめかみの辺りを掻いている。




「あー、その、何だ・・・・・・。

あんた、もしかして、献鳬の若君じゃ?」




 断十郎が、腹を決めた様子で尋ねた。




 その途端、経輝の表情が、サッと強張った。




「私は・・・・・・。

私はもう、献鳬とは無関係なんで!」




 固い表情でそう言うと、経輝はさっさと歩きだしてしまった。




 断十郎が、困った顔で、経輝の背中を見送っていた。




 経輝の言葉は、断十郎の質問を否定してはいなかった。
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