‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜



 平吾の葬儀がしめやかに行われた。




 平吾は、偏屈で頑固な男だったが、それでも、近所の者、なじみの客、そして古い弟子達が弔問に訪れた。




 平治は、その対応に追われていた。




 その様子を、甚兵衛と凪が見ていた。




 甚兵衛も、生前の平吾に商売道具を作ってもらっていた。




 また、二人共、平吾の最期に立ち会ってもいる。




 だが、忙しそうにしている平治に声を掛けるのが躊躇われるのか、家の外で、平治の様子を見ていた。




 そんな二人の所に、断十郎もやって来た。




「よお!

何してんだ、そんな所で!

特に、甚兵衛・・・・・・。

お前ぇ、なんでこんな所にまで、そんな物騒なモン持って来てんだ?」




 甚兵衛は、“辰巳の御神刀”を持って来ていた。




 肌身離さず持っていないと、この御神刀は、かなりうるさいのだ。




 しかし、その声は、甚兵衛と、靉苒という巫女にしか聞こえないようだった。




 もちろん断十郎も、そこら辺の事情は察している。




 甚兵衛が辟易した様子で、御神刀に目をやったので、恐らく、断十郎の言葉に、御神刀が不平を漏らしたのだろう。




 甚兵衛のうんざりした顔を、断十郎が人の悪い笑みを浮かべて見ていた。
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