‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
「今、平治さん忙しそうだからさ。

もうちょっとしてから行こうと思って」




 凪が、神妙な面持ちで応える。




 それで、断十郎も二人の隣で、平治の様子を見ていた。




「平治さん、良かったね。

たいしたお咎めも無くって」




 凪が、ぽつりと言う。




 強盗の一味として、押し込みに入り、これ程の騒動を起こした当事者の一人だというのに、平治は、ありえない程の微罪ですんだ。




 むろん、それには断十郎が、手を回したからだ。




 断十郎は、こと妖が関わった事件に関しては、城代の重元から、絶大な信頼を得ている。




 実は、与えられた権限も、それに比して大きかった。




 そのため、平治は、異例とも言える軽い処罰ですんだのだ。




 暫く三人が佇んでいると、ようやく、弔問客がいなくなりだした。




 最後の客を送った平治が、三人に会釈をし、中に招き入れた。




「わざわざ、親父のために、足を運んでいただき、ありがとうございます」




 平治が、他人行儀な口ぶりで言った。




「なあに、気にすんな。

平吾のとっつぁんには、俺も甚兵衛も世話になったんだ」




 断十郎がそう言いながら、線香をあげる。




 甚兵衛と凪も、会釈をして、それに倣った。
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