‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
「甚兵衛やめて!」




 凪が声を震わせる。




 甚兵衛に迷惑を掛けられない。




 そんな凪を、甚兵衛がチラッと見た。




 一瞬だけだったが、凪にはその視線が、とても温かく感じられた。




「分かってます。

また・・・・・・、元の自分に戻るだけです」




 断十郎が、思わず、といった感じで笑った。




 だが。




「ふざけてんじゃあねえぞ!

こらぁ!

てめぇは、その生活から、完全に足を洗ったんじゃねえのか!

それなら、簡単に戻るなんて考えんじゃあねえ!」




 凪は思う。




 断十郎は優しい。




 この人は、厳しい顔で怒鳴り付けているのに、なぜかとても慈愛に満ちている。




 本気で、叱り付ける相手の身を案じているのだ。




 甚兵衛の時も・・・・・・。




 平治の時も・・・・・・。




「甚兵衛・・・・・・。

凪は、自分が犯した過ちを、償わなけりゃあならねえんだ!

てめぇに凪の責任が取れるのか?

その覚悟があるのか?」




 甚兵衛が、怖いくらいに真剣に、断十郎を見る。




「あります!

凪はもう、私の仲間です!」




「甚兵衛・・・・・・」




 甚兵衛を見詰める凪の視界が歪む。




 心の奥から溢れるように、涙がとめどなく零れ落ちた。
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