‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜



 秀郷と膩玖が、馬を駆って疾走している。




 だが、何を思ったのか、秀郷が、不意に馬を停めた。




 馬が、それに不平を漏らすかのように、いななく。




 膩玖も、不思議に思いながら、馬を停める。




「いかがなさいました?

殿」




 秀郷が天を見上げる。




 そして懐から、先程、玄讖坊にもらった小箱を取り出した。




「膩玖よ・・・・・・」




 妙な雰囲気を漂わせながら、秀郷が、箱を開けた。




「この“神宿しの勾玉”を、空に放(ホウ)ったらどうなると思う?」




 膩玖が、思わず返答に詰まる。




 空を見上げてみる。




 そこには、雲一つ無い、青空が広がっていた。




 膩玖には、分かりきった質問をする秀郷の心中が、読めない。




「それは・・・・・・。

むろんのこと、また落ちて、殿の掌中に戻ってくることでございましょう。

それが、“道理”、というものでございますれば」




 膩玖の返答に、秀郷が、唇の端を吊り上げ、愉快そうに笑む。




「はたしてそうかな?」




 膩玖が、困惑する。




 秀郷の意図が、まるで分からない。
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