only love
ボーカルの言葉を合図にドラムがリズムを刻む。



    タンタンタンタンッ!



その音を合図に始まった曲。

心にしっくりと馴染んでいく。


聞いた事なんてないハズなのに、

親しみを感じずにはいられない。


私は前奏だけで、この曲に惹かれた。すごいっ・・・・!!


みんな、それぞれ個性があるけど浮いているわけじゃない。

特にギターの人。かっこいい。凄く上手。


みんなで作った音楽によく溶け込んでいる。


歌が始まった。なんて優しい声・・・。



聞いていて心地いい。


まさか、お兄ちゃんがこんなに歌えるなんて・・・。



    『好きだよ。その言葉だけであたたかくなれたんだ。
     愛してる。その言葉だけで幸せになれるから。
     もっと、ずっと一緒に居ようよ』



お兄ちゃんの声が私の中に響く。


なんて素敵な曲だろう。


私は、珠璃に何を言われても反応することすらできないくらい、その曲に聞き入ってた。


そして、ギターの人から目が離せなくなっていた。


そんな不思議な気持ちに浸りながら、コンサートは幕を閉じた。

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