僕が君を好きになった理由

中町愛タウン

ゲームセンターを出た
僕と中澤は「中町愛タウン」と
呼ばれる、僕らが子供の頃から
慣れ親しんだ商店街を歩いた。

この商店街には
危険がいっぱいだ。

幼少の頃から僕を
知っている大人達が
そこら中にうようよと
しているからだ。

何しろ、小6の頃の
猫探しですら、まだ
ヒマ潰しの話題に
取り上げてくるような
ヤツらである。

ヤツらの
情報管理能力を
舐めてはいけない。

普段なら気軽に
挨拶のひとつも
くれてやるが
今は、状況が違う。

隣りには
この街一番の美少女
中澤初音がいるのである。

こんな時に
余計な暴露トークを
やらかしそうな
パンクな大人は
今、思い返しただけでも
12人はいた。

12人は相当数だ。

未来ある若者の
夢を奪おうとする
刺客が12人、どこかに
潜んでいるであろう
商店街を、僕は
神経を尖らせて歩いた。
< 13 / 22 >

この作品をシェア

pagetop