風の旅
結局瑞姫はベッドに逆戻りすることになって(当然のことながら熱、あるし。)

俺はそんな瑞姫に便乗して、瑞姫を抱きしめて一緒にベッドに横になった。

そりゃ、ね。

あんな光景をみたら、離れたくなくなっても当たり前デショ?

腕の中の温もりが、ものすごく幸せに感じる。

色ボケているといわれても、かまわない。

瑞姫はというと、さっきは嬉しそうだったけど、状況を理解したらしく、一変してものすごく肩身の狭そうな態度をとっていた。

そんな態度とって欲しくなくて、少し卑怯な謝り方をした。

「ごめん。自分のことばっかで。もう聞かないから。瑞姫が自分から話すまで、何も聞かないから、安心して。だから、甘えて。じゃなきゃ、強制的に甘えさせるよ?』」

言い訳みたいでいやだったけど、なんだかただの意地悪みたいになってしまったそれに、瑞姫はなんだかよくわからない、いろんな表情が混ざったような顔をして、ゆっくり何かノートに書き始めた。

『あんな勝手で心配させるようなことしたのに、許してくれるの?』

そう書いた瑞姫は俺の反応をうかがうようになぜか気の弱そうな上目使い。

・・・こんな時に不謹慎だけど、可愛いな・・・。

「俺が、悪かったんでしょ?」

そういったら、また泣き出してしまった。

「えー・・・。」

どうしよう、俺、なんて言えばよかったんだ?

なんだかもう、わからない。

ひとりでパニック状態になっていると、瑞姫がノートに何か書き始めた。

『ごめんなさい。弱虫でごめんなさい。』

何の事だかわからないでいると、

『ちゃんと全部話します』

何かに挑むような目つきで、そう答えが返ってきた。






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