風の旅
Ⅳ
荒れた凪
『うちは資産家で、私はその跡取りの父の本妻の子。
父と母は政略結婚で、愛とか、無縁だった。
そんな、跡取りが欲しいだけで作った子供が、耳が聞こえない、しゃべれない私。
父はひどく怒り狂って、母や私に対して暴力を振るうようになって、母は私のことをか ばいながら父の暴力に耐えてた。
けど、私のことを誰よりも可愛がってくれた母は、無理がたたって、6歳の時、亡くな った。
母の後ろ盾がなくなった私に親戚中否定的で、母の実家も引き取ることを拒否して。
私は家の敷地内の隅にある、小さな離れに移された。
生活に必要なものが一通りそろった牢獄のようなそこで、私は一人暮らしを強いられた の。
昔の私は、いつか父が迎えに来てくれるって、淡い願いを抱いていて・・・。
耐えきれなくなってこっそり本宅にいってみると、そこには知らない女の人と、知らな い男の子がいたの。
正確に言うと父の愛人と、私の異母兄で・・・父は本妻がいながら外に愛人を作って、 その愛人に子供まで産ませていたの。
しかも、私よりも年上なの、笑っちゃうわよね。
それから、一人だけ、私付きのお手伝いさんみたいなものをつけてれくれたけど、それ 以外は食糧と最低限のものだけしかもらえなかった。』
*
父と母は政略結婚で、愛とか、無縁だった。
そんな、跡取りが欲しいだけで作った子供が、耳が聞こえない、しゃべれない私。
父はひどく怒り狂って、母や私に対して暴力を振るうようになって、母は私のことをか ばいながら父の暴力に耐えてた。
けど、私のことを誰よりも可愛がってくれた母は、無理がたたって、6歳の時、亡くな った。
母の後ろ盾がなくなった私に親戚中否定的で、母の実家も引き取ることを拒否して。
私は家の敷地内の隅にある、小さな離れに移された。
生活に必要なものが一通りそろった牢獄のようなそこで、私は一人暮らしを強いられた の。
昔の私は、いつか父が迎えに来てくれるって、淡い願いを抱いていて・・・。
耐えきれなくなってこっそり本宅にいってみると、そこには知らない女の人と、知らな い男の子がいたの。
正確に言うと父の愛人と、私の異母兄で・・・父は本妻がいながら外に愛人を作って、 その愛人に子供まで産ませていたの。
しかも、私よりも年上なの、笑っちゃうわよね。
それから、一人だけ、私付きのお手伝いさんみたいなものをつけてれくれたけど、それ 以外は食糧と最低限のものだけしかもらえなかった。』
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