風の旅
「・・・!?」
思いっきり声を出して叫びそうになったけど、寸前のところでどうにか踏みとどまる。
これって、さっき噴水の縁に座ってた人だよね?
幽霊とかそういうたぐいのものではなく、ちゃんと、生きている人間だよね?
そう思ってからの行動は早かった。
びっくりして、怖くなったから。
幽霊とかその類と、質が全く違う、人が、目の前で死ぬという、恐怖。
大好きだったばあちゃんが息を引き取ったときのような。
「何してるんすか!」
ざば、と女性をひきあげると、意識はあるようで、ゆっくり、うっすら瞼をあげる。
けれどその表情や顔色は死人のそれ。
「しっかりしてください!具合でも悪いんすか!?」
恐怖と驚きから必死で、大声で言い放った俺の言葉を無視して、彼女は俺に視線だけ合わせてきた。
不思議そうに俺を見ながら、とても悲しそうな眼をするだけだ。
「―――」
血色の悪い、紫を通り越して白くなっている唇が、うっすら開くのを見ていると何もしゃべらないまま、女性は脱力―――気絶、した。
え、と?どうすればいい?
とりあえず、人命救助?
生きてるもんね?
恐怖からパニックになった俺は、とりあえず、その女性を抱き上げて、家までの30メートルを、全力疾走したのだった。
*
思いっきり声を出して叫びそうになったけど、寸前のところでどうにか踏みとどまる。
これって、さっき噴水の縁に座ってた人だよね?
幽霊とかそういうたぐいのものではなく、ちゃんと、生きている人間だよね?
そう思ってからの行動は早かった。
びっくりして、怖くなったから。
幽霊とかその類と、質が全く違う、人が、目の前で死ぬという、恐怖。
大好きだったばあちゃんが息を引き取ったときのような。
「何してるんすか!」
ざば、と女性をひきあげると、意識はあるようで、ゆっくり、うっすら瞼をあげる。
けれどその表情や顔色は死人のそれ。
「しっかりしてください!具合でも悪いんすか!?」
恐怖と驚きから必死で、大声で言い放った俺の言葉を無視して、彼女は俺に視線だけ合わせてきた。
不思議そうに俺を見ながら、とても悲しそうな眼をするだけだ。
「―――」
血色の悪い、紫を通り越して白くなっている唇が、うっすら開くのを見ていると何もしゃべらないまま、女性は脱力―――気絶、した。
え、と?どうすればいい?
とりあえず、人命救助?
生きてるもんね?
恐怖からパニックになった俺は、とりあえず、その女性を抱き上げて、家までの30メートルを、全力疾走したのだった。
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