風の旅
『今日の朝、姿を消したのは、私のことを知りたがる梗丙にこんなことを話したら、嫌わ れちゃうんじゃないかって、思ったから。
 
 もう、梗丙に嫌われたら私、本当に生きてけないと思ったから・・・言うのが怖くて逃 げて、でも一度逃げたら梗丙の所には帰れなくて・・・。
 
 だから、また死のうとしたの。
 
 気がついたとき、梗丙が抱きしめててくれて、嬉しかったんだ。
 
 また、梗丙ところに帰ってこれた、梗丙が迎えに来てくれた、って。
 
 自分から出て行ったくせに、ものすごく勝手な言い分だけどね。』




申し訳ないやら嬉しいやらいろんな感情がごちゃまぜだったけど、ものすごく瑞姫が可愛くて愛おしくて、いまだペンをもったままだった瑞姫を無理やり自分に向かい合わせ、深い深い、息を吸わせないようなキスをした。

瑞姫が苦しいといっても、簡単にはやめなかった。

瑞姫を愛して、甘やかして、大切にするのは、俺の役目だ、なんて勝手なことを思って。

気づいたら、ベッドに押し倒した瑞姫の上に覆いかぶさっていて、瑞姫の首筋に、いくつもの所有のシルシを残していて。

瑞姫は泣いていたけど、なんだか幸せそうな顔をしていて。

瑞姫も俺の首筋に、キスをしてくれていて。

瑞姫は嫌がらなくて、むしろ縋ってきたから、歯止めなんて聞くはずもなく。

お互い、生まれたままの姿で、お互いを貪りあっていた。






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