風の旅
瑞姫が目を覚ました後から、いろいろなことを筆談で会話した。
ただ会話をしたと言っても、他愛のないことが多くて、好きな食べ物とか、何をするのが好きかとか、そんなことばかりで、肝心な瑞姫のことについては、あまりしゃべれなかったけど。
わかったのは、生まれつき耳が聞こえずしゃべれないということ、読唇術が使えることと、俺より1つ年上ということ(絶対年下だと思ったんだけどな・・・)くらいだった。
次の日に、熱も下がっていたから、『帰りましょう』と話したら、なぜかものすごく悲しそうな、恐怖におびえた目をされてしまった。
から、一緒に今、住んでいる。
そんな理由?と思うような理由だけど、言葉で言ってしまうから実に簡単に聞こえるだけで、本当にすさまじかった。
今までに見たこともないくらいに恐怖や悲しみ、孤独に支配された表情。
眼は、瞳ではなく、黒い黒い、穴のようで。
それを見たら、帰って下さいと、言えなくなってしまい、『好きなだけここにいていいよ』と、言ってしまったのだった。
*
ただ会話をしたと言っても、他愛のないことが多くて、好きな食べ物とか、何をするのが好きかとか、そんなことばかりで、肝心な瑞姫のことについては、あまりしゃべれなかったけど。
わかったのは、生まれつき耳が聞こえずしゃべれないということ、読唇術が使えることと、俺より1つ年上ということ(絶対年下だと思ったんだけどな・・・)くらいだった。
次の日に、熱も下がっていたから、『帰りましょう』と話したら、なぜかものすごく悲しそうな、恐怖におびえた目をされてしまった。
から、一緒に今、住んでいる。
そんな理由?と思うような理由だけど、言葉で言ってしまうから実に簡単に聞こえるだけで、本当にすさまじかった。
今までに見たこともないくらいに恐怖や悲しみ、孤独に支配された表情。
眼は、瞳ではなく、黒い黒い、穴のようで。
それを見たら、帰って下さいと、言えなくなってしまい、『好きなだけここにいていいよ』と、言ってしまったのだった。
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