風の旅
風の虜
ただ、予想外だったのは、自分の気持だった。
確かに、初めて見た時から可愛いな、なんて思っていたけど、一緒に過ごしてみて、瑞姫に完璧に恋をしてしまった気がする。
―――きっかけは、家事。
一人暮らしをする際に、両親、姉、妹、友人、みんなに生きていけるのか、と心配されるほどに、俺の家事能力は低いものだった。
確かに一人暮らしを始めた際は、悲惨だったし。
洗濯をしようと思って、洗濯機を回しても、干すのがうまくいかずにすぐに服をだめにしてしまったり、掃除をしても、全然綺麗にならなかったり、むしろ汚くなっていったり、飯を作ろうとしても、味がない、もしくは味がありすぎるような食べれたものではないものしか作れなかったり。
3年とちょっとの一人暮らし生活を経て、ましにはなったけど。
そんな俺の家事能力を、瑞姫は見事に助けてくれた。
『置いてもらえるなら、代わりに家事をする』と自分で言い出して。
とりあえずいつも適当に干していた洗濯は、しわがしっかり伸ばされて必要なものにはアイロンまでかかっていたし、これ以上はどう片づけていいかわからなかった部屋は、今までに見たこともないくらいに綺麗に片付いて、お決まりのものしか作ったことのなかった食事は、リビングのテーブルの上がいっぱいになるほどの料理が毎回並ぶようになった。
これにはとーっても助かったし、急速にひかれていった。
―――でも、一番は。
「じゃん!新しいノート、買ってきたよ!可愛いでしょ」
夕食後、シャワーも浴びて、ソファでくつろいでいる時。
今まで筆談をしていっぱいになったメモパッドの代わりの、女の子が好きそうな薄いピンクに同系色のドット模様が描かれたノートを見せた。
すると、顔をくしゃくしゃにして笑って、早速そこに、
『ありがとう!』
と書いて、俺に抱きついてきた。
*
確かに、初めて見た時から可愛いな、なんて思っていたけど、一緒に過ごしてみて、瑞姫に完璧に恋をしてしまった気がする。
―――きっかけは、家事。
一人暮らしをする際に、両親、姉、妹、友人、みんなに生きていけるのか、と心配されるほどに、俺の家事能力は低いものだった。
確かに一人暮らしを始めた際は、悲惨だったし。
洗濯をしようと思って、洗濯機を回しても、干すのがうまくいかずにすぐに服をだめにしてしまったり、掃除をしても、全然綺麗にならなかったり、むしろ汚くなっていったり、飯を作ろうとしても、味がない、もしくは味がありすぎるような食べれたものではないものしか作れなかったり。
3年とちょっとの一人暮らし生活を経て、ましにはなったけど。
そんな俺の家事能力を、瑞姫は見事に助けてくれた。
『置いてもらえるなら、代わりに家事をする』と自分で言い出して。
とりあえずいつも適当に干していた洗濯は、しわがしっかり伸ばされて必要なものにはアイロンまでかかっていたし、これ以上はどう片づけていいかわからなかった部屋は、今までに見たこともないくらいに綺麗に片付いて、お決まりのものしか作ったことのなかった食事は、リビングのテーブルの上がいっぱいになるほどの料理が毎回並ぶようになった。
これにはとーっても助かったし、急速にひかれていった。
―――でも、一番は。
「じゃん!新しいノート、買ってきたよ!可愛いでしょ」
夕食後、シャワーも浴びて、ソファでくつろいでいる時。
今まで筆談をしていっぱいになったメモパッドの代わりの、女の子が好きそうな薄いピンクに同系色のドット模様が描かれたノートを見せた。
すると、顔をくしゃくしゃにして笑って、早速そこに、
『ありがとう!』
と書いて、俺に抱きついてきた。
*