磁石
春休みも中ごろになった頃だった。
雪も溶け、すっかり春らしくなった景色と、あたたかな陽気に、じっとしていられなくなった菜実と真友湖は、部活の後で遊ぶ約束をした。
春休みもあとすこし。
でも、部活も、勉強も、遊びも、そして恋もまだまだやりたいことはたくさんある。
菜実は髪の毛をかきわけた。
「そろそろ宿題、やばいでしょぉぉぉ!?でもさ、宿題なんて最後の日に答え写すし笑。」
「あったりまえ――!!真面目にやるとかありえないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ――!笑」
菜実と真友湖は、顔を見合わせ笑いあった。
春休み明けのテストなんてクソ食らえ。
今は遊びたいんだもん。
そういって町へ自転車をとばす。
春のやわらかな陽射が二人を照らした。
「どっかチャリで行きたいねぇ・・・。なるべく遠くのほうが、テンション上がるかなぁ?」
二人はどこにいくかしばらく話し合い、とりあえず町の体育館へ行くことにした。
町の体育館は、地元の中学生のいわゆるたまり場。
いけばいつも誰かいる、といった具合だ。
菜実と真友湖もそれを期待していた。
しかし、その日あいにくにも体育館は貸し切り状態。
これでは遊べない。
「・・・どうする??」
「・・・どうしよっか??」
どうせここにいてもつまらないし、ちょっと遠くてもいいよね・・・??お菓子買っていけば遠足みたいだし。
菜実は、考えた。