短編集
今世紀最大の嘘
薄い紫色から赤っぽい橙色へとグラデーションを描く空。姿を隠し始めた太陽はどこか朧げで、淋しげ。
あの日教室の窓から見えたのは、何かの終わりを告げるような、そんな景色。
「好きなんだ、」
放課後の教室。見たこともない真剣な表情でそう発したのは、いつも隣で見てきたあいつ。
嗚呼、なんて甘美な響き。
「ずっと、好きだった」
その声が自分に向けられたらと、どんなに長い間思っていただろうか。
、、悲しいことにその言葉を贈られた相手は自分ではないのだけれど。
「あーあ、やってらんないなぁ、、」
ポツリと呟いた声は、誰もいない廊下を一人歩きして、すぐに消えてった。