短編集
世界の終わり
「ごめん、他に好きな奴ができた」
三年、付き合った彼氏に言われた言葉。
なんだそれ、とか、ふざけんな、とか。
言いたい事は山ほどあった。
けど、その目があの日と変わらず真剣で、強さを秘めていたから。あたしはいい女を演じるしかなかった。
「そっか。今までありがと、幸せにね」
その目を見て言える程強くはないから、見慣れたよれよれのシャツを見ながら言葉を吐き出した。
口元に笑みを添えて。