短編集
囚われのマリオネット
あの日壊れたのは、僕、それとも君かな。
胸がざわついて、定まらない。よくわからない焦燥感につき動かされるようにして、足早に大学を後にした。
一人暮らしを始めてもう三年目になる少し廃れたアパートが見えてきて、足のスピードを緩める。
ゆっくり流れるようになった視界を見渡す。
自分の物のようでないように心臓がバクバクと脈打つ音が響き渡る。
そこでようやく自分が迫りくる゙何がに脅えていたことに気付いた。
「そこのお兄さん」
急に投げ掛けられた声にビクッと体が震える。
言いようのない感情に震える心を押さえ付けながら、辺りを静かに見回す。