【短編】鐘の音が聞こえる
「…ケン、そろそろお家の人が心配してるんじゃない?」
私は時計を見ながらそう言った。
もう11時を回っている。
「……」
ケンは黙っていた。
「送っていってあげるから…」
私はケンの手を取り、ひいた。
なんて、冷たいの…
私は思わず手を放しそうになった。
「すごく冷えてるじゃない!! ちょっと待ってて!!」
私は自販機まで走った。
小銭を投入口に入れようとしたが、自分の指もかじかんでいてもたついてしまった。
それでもなんとか小銭を入れて、温かい缶コーヒーのボタンを押した。
「ほら」
私はケンに缶コーヒーを握られて、ポケットに突っ込んだ。
「奈緒のは?」
「小銭、終わっちゃった。あとは万券しかないから…」
私は小さく微笑んだ。
するとケンはコーヒーをポケットから取り出し、私のコートのポケットに入れた。
そして、私の手を取り私のコートのポケットに無理やり押し込んできたのだ。
驚いた私はケンの顔を見た。
ケンは黙って真っ直ぐを見据えていた。
…どこかで、会ったことある…?
なんとなく私はそう思ったが、いくら思い出そうとしても、思い当たることが無かった。
繋いだ手はとても冷たくて…
でも次第に、指先がじんじんするくらい、温度を感じてきた。
「暖かいね…」
私は思わずそう言った。
とても小さな声で…
私は時計を見ながらそう言った。
もう11時を回っている。
「……」
ケンは黙っていた。
「送っていってあげるから…」
私はケンの手を取り、ひいた。
なんて、冷たいの…
私は思わず手を放しそうになった。
「すごく冷えてるじゃない!! ちょっと待ってて!!」
私は自販機まで走った。
小銭を投入口に入れようとしたが、自分の指もかじかんでいてもたついてしまった。
それでもなんとか小銭を入れて、温かい缶コーヒーのボタンを押した。
「ほら」
私はケンに缶コーヒーを握られて、ポケットに突っ込んだ。
「奈緒のは?」
「小銭、終わっちゃった。あとは万券しかないから…」
私は小さく微笑んだ。
するとケンはコーヒーをポケットから取り出し、私のコートのポケットに入れた。
そして、私の手を取り私のコートのポケットに無理やり押し込んできたのだ。
驚いた私はケンの顔を見た。
ケンは黙って真っ直ぐを見据えていた。
…どこかで、会ったことある…?
なんとなく私はそう思ったが、いくら思い出そうとしても、思い当たることが無かった。
繋いだ手はとても冷たくて…
でも次第に、指先がじんじんするくらい、温度を感じてきた。
「暖かいね…」
私は思わずそう言った。
とても小さな声で…