【短編】鐘の音が聞こえる
「奈緒。」
「ん?」
「奈緒は、本気で誰かを好きになったこと、ある?」
ケンの意外な質問で、私は面食らった。
「なぁに、急に… どうしたの?」
私はケンの顔をのぞき込んだ。
「答えてよ。」
とても真っ直ぐな目
純粋。
そのひとことが似合う、そんな目だった。
しかし、私にはその真っ直ぐな目がとても辛く感じた。
「わからないの…」
「どうして?」
「何も覚えてないの。ちょうど二年くらい前の記憶から、頭にはなにもないのよ…」
私は目を伏せた。
「どういうこと? 記憶喪失?」
「……」
私は黙って頷いた。
「キーワードはクリスマス… 2年前のクリスマスに何かあったみたいなんだけど、思い出すと… 頭が痛くなってくるの。…可笑しいでしょ」
私は小さく微笑んだ。
「でも奈緒なら、本気で好きになった人、いると思うよ。」
ケンは言った。
「どうして、そう思うの?」
「俺の知ってるナオは…」
ケンは私のポケットの中で、握る手をいっそう力を込めた。
「そんな弱虫じゃないよ。」
ケンがそう言った瞬間
何が起こったのか、理解ができなかった。
「ん?」
「奈緒は、本気で誰かを好きになったこと、ある?」
ケンの意外な質問で、私は面食らった。
「なぁに、急に… どうしたの?」
私はケンの顔をのぞき込んだ。
「答えてよ。」
とても真っ直ぐな目
純粋。
そのひとことが似合う、そんな目だった。
しかし、私にはその真っ直ぐな目がとても辛く感じた。
「わからないの…」
「どうして?」
「何も覚えてないの。ちょうど二年くらい前の記憶から、頭にはなにもないのよ…」
私は目を伏せた。
「どういうこと? 記憶喪失?」
「……」
私は黙って頷いた。
「キーワードはクリスマス… 2年前のクリスマスに何かあったみたいなんだけど、思い出すと… 頭が痛くなってくるの。…可笑しいでしょ」
私は小さく微笑んだ。
「でも奈緒なら、本気で好きになった人、いると思うよ。」
ケンは言った。
「どうして、そう思うの?」
「俺の知ってるナオは…」
ケンは私のポケットの中で、握る手をいっそう力を込めた。
「そんな弱虫じゃないよ。」
ケンがそう言った瞬間
何が起こったのか、理解ができなかった。