巡愛。~ずっと好きだった~
「じゃあ克也を借りていきます。」
ボーッと二人のやり取りを見ていた私に、健ちゃんは丁寧にそう言った。
「あ…うん!」
「行ってきま~す!」
二人は釣りへと出掛けて行った。
だけど…何だろう…。
健ちゃんとは…実際、話をしたのは5年前のあの時だけ。
私はその後、優太と付き合い始めて…健ちゃんの事は忘れていた。
だから…本当に変なんだけど。
懐かしい…なんて、感じるのは…何故…?
そして健ちゃんの、私に向ける眼差しはどうしてあんなに優しいんだろう…。
その夜、私は不思議な夢を見た――。