巡愛。~ずっと好きだった~
敵である晴信に心奪われ…勝てた戦で斬る事もできず…契り…裏切られ…子を宿す…なんて。
今の私は、男に騙されて涙する…ただの女子だった。
「…馬鹿は…私じゃ…っ!」
晴信…っ
確かにあの時、心が通ったと思ったのに…!
あの優しい瞳も、優しい手も…全て、私を騙す為だったのか…?
そう思うと、情けなくて…悲しくて。
恨めしくて…絶望で。
…病弱な兄上の変わりに、家督を継ぎ…女を捨て、今まで指揮を取ってきたが…。
所詮、ただの女子だったのじゃ。
私なんかに…城主は務まらん…。
もう…疲れた。
何もかも…嫌じゃ。
この時、出家を心に決めた。