巡愛。~ずっと好きだった~
「ただの女子なんかではありませぬ!戦の天才ではござらんか!景虎様の他に誰が指揮を取れる者がおるものか!…お願いします!」
静かに…ひっそりと生きる事も、許されぬのか…。
「…解った、戻る。今宵は泊まって…明日発とう。」
結局、叔父上の必死の説得に…私は負けてしまった。
…否、どうでも良かったのかもしれん。
夜、静かに読経していた。
ただただ、無心に。
背後に…気配がして振り返ると、小姓の少年が座っていた。
「…お前まで来るとはな…。」
「景虎様…あの…お腹の子は…?」
お腹の子…晴信の、子。
私は…放心したように、呟いた。