巡愛。~ずっと好きだった~
……え……?
健ちゃんは、私を見た。
その私を見る健ちゃんが…初めて会った時のような、大人びた表情で。
切なく、哀しく、そして懐かしい…そんな、顔。
一瞬、時が止まったみたいな気がした。
祭りの賑やかな音がどこか遠くで聞こえて…まるでこの世に健ちゃんと私、二人きりしかいないみたいな…。
どうして、私をそんな顔して見るの…?
健ちゃんは…私に…一体何を…。
「健士郎!そろそろ片付けるぞ!!」
一瞬は長くは続かなかった。
健ちゃんのお父さんが呼んでる。