EACH WOUND
「お父さんはどこにいるの?」
「今は母さんとキッチンでいちゃついてるみたい。」
またか、という顔をしてため息を吐く麻里。
「だから俺たちは部屋にいってような。」
そう言って麻里の手を取り階段を上る。
「いい年してやめてほしいよね。」
俺のあとについて部屋に入り、ソファーに腰を下ろしながら不満をもらす。
「そうだな。」
荷物を置いて苦笑しながらも麻里の隣に腰を下ろす。
暇だな。
そうだ。
「テレビでも見る?」