EACH WOUND



あ、可愛いじゃん。



足を止めた女の子は恐る恐るこっちに顔を向けた。
よく見ると整った顔立ちで。



お化けみたいって言ったのは、足音も立てずにいきなり現れたから。
それと。



「髪、濡れてるよ?」



長い黒髪が水で濡れて、なんだかホラー映画の中に出てくる人みたいだったから。




あれ?
あの制服……



「東高の人?」



俺が通ってた高校と一緒の制服。



女の子は短く頷いた。


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