EACH WOUND
case...S
どうしてこんなに嬉しいんだろう。
彼女はただ、聞かれたことを答えただけなのに。
「何年生?」
彼女が続けて言葉を発した。
それも俺に対しての質問。
やばい。
最高に嬉しい。
でも何でだろう。
「二年の一条奏太。」
「あたしも二年。」
こっちを見ずに短くそう呟く。
だけど、やっぱり俺は嬉しくて。
「一緒なんだ、知らなかった。」
思わず顔が綻(ほころ)んでしまう。