EACH WOUND
まっすぐに前を見つめている彼女の方へ顔を向ける。
細い髪の毛を風が仰いで小さく揺れる。
……どうして髪、濡れてるんだろう。
ていうか、濡れたままだと痛むと思う。
普段は別に気にしないんだけど。
せっかく髪、綺麗なのに。
もったいない。
「タオル持ってる?」
怪訝な顔をしながらもそう答える彼女。
「……持ってる。」
「貸して?」
鞄の中を探って、タオルを取り出し、俺に渡す。
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