EACH WOUND

本当にださいと思う。
こんな自分は。
……もう随分前のことなのに。



だけど、どんなに格好をつけたところで俺はやっぱり人間というやつだから。
心を持っているから……
忘れることができないし、こんなに痛いんだと思う。



もう一層のこと記憶喪失になってしまえばいいのに。
そう思ったことは山ほどある。
だけど。
忘れたくないことだって山ほどある。
辛くて嘆いた日々があるということは、嬉しくて笑った日々もある。
そういうことだろ?



どっちかだけがずっと続くなんてことはありえないのだから。
だけどそう思う度に虚しさが倍増する。



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