キミの隣に
 
フォールの音の掛かり方

音の細かい取り方

何かが引っ掛かれば
樹里の手をとめて、
チェックした。


「真月、休憩しねぇ?
さすがに4時間は
やりすぎだって。」


「そんなに経ってる?!」


「相変わらずだな。
お前はちょっと練習不足な位が
ちょうどいいよ。」

樹里は指をほぐしながら笑う。

「じゃあ、今日はこのくらいで
切り上げるよ。」

私は部屋を片付けながら
撤収の旨を告げた。


「あ・・・うん。」


樹里の
何かを飲み込む様な返事

いつも
自分から話し出すのを
待ってたケド

話してくれた事ないよね。


私も、同じだけど。


踏み込むべきか

踏み込まざるべきか・・・

一瞬の躊躇の間に
携帯電話に着信がはいる。


会社からだった。


樹里がハズして
私は通話ボタンを押す。

「渡辺です。」


人事部からの連絡。
転籍の件だ。
結論の打診。


「ああ。
いま近くにいるので、
そっちにいきます。」

回答に踏み切れない理由は
わかってる。


いくつもある
断りたい理由。



 
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