ふたご王子に恋をした
「父さん!僕たちには何を言っても構いませんが、その子は関係ありません!」


旭の声は若干震えていた。



「…まぁいい。とにかく、俺に迷惑だけはかけるな。あと、前から言ってるがくれぐれも父親が俺だということをまわりに言い触らすな。」



な…なに…それ………


前に立っていた陽の肩が小さく揺れている。握り締めた拳には力が入っているのが分かる。



「お前らには何不自由ないくらい、むしろ贅沢できるだけの金を毎月振り込んでいる。お前らはそれでおとなしく過ごしていればいい。」


「………ざけんな。」

「なんだ、陽。言いたいことがあるならはっきり言え。」



「ちょっとヒナ……」


「ふ…ふざけんじゃねーよ!!」



陽が目の前にあったテーブルを思いっ切り蹴り飛ばした。テーブルはキレイにひっくり返り、上にのっていたものは全て床に散らばった。


大きな物音に思わず肩をすくめ耳をふさぐ。


「…また暴力か。そういうところがお前はいつまでたっても子どもなんだよ。」


「…っ!!」


「陽!?」



肩で大きく呼吸をすると陽はそのまま家を飛び出した。


慌ててあたしもあとを追う。


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