ふたご王子に恋をした
俺たちを産んで母親も助かる確率は50%。


母親はその50%にかけたんだ。



そして母親のおかげで俺たちは無事に産まれることができた。


だけど、数日後に母親は息を引き取った。



親父は、母親が死んだことをどうしても受け入れることが出来なかった。


俺らが産まれてこなければ、母親は死なずに済んだ。


俺たちが産まれたことは間違いだったと、




“悪”であると、


そう思ってるんだ。



親父は俺らなんかいらなかった。


母親がいればそれだけでよかった。



俺たちを憎み、嫌い、遠ざけた。


物心ついたときから俺たちはずっと二人で、中学生になるまでは家政婦ってヤツが世話をしてくれた。


中学生になってからは家政婦すら来なくなって、そのかわり、毎月余るほどの金が振り込まれた。



親父は俺たちを捨てることも殺すことも出来ない。



それは優しさでもなんでもなくて、


自分の地位と名誉を守りたいから。



ただそれだけのこと。

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