ふたご王子に恋をした
「…なんでお前が泣きそうな顔すんだよ。」


「え?」



ふと顔をあげた陽が力なく言う。


確かに陽の言うとおりだった。


なんであたしちょっと泣きそうになってんだろ…


悲しいのは二人なのに…



なんだか感情移入しすぎてヤバい。



でもコレは同情してるわけじゃない。



そういうわけじゃなくて…




「…そういう顔されるとこっちまでつられんだろーが…」



あたしが二人のためにできることってなんだろう。


おせっかいながらそう思う。


さっきとは別人なくらい、弱気でちょっと触れたら今にも崩れてしまいそうな陽。


あたしがいつも見ていた陽とは全く違う陽。


だけどこれがきっと本当の陽。




「陽…」



ガコン!
ウィーン………




止まっていたエレベーターが音を出してまた動き始めた。



「…直った、みたいだね。」


「そうだな…。」




エレベーターが1階へ向かう。



「…なんで俺、お前なんかにこんな話してんだろ。」


「お前なんかのなんかは余計じゃない?」


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