ふたご王子に恋をした
それから下につくまで陽は何も言わなかったけど、不思議と気まずくはなかった。



正直、不謹慎かもしれないけど、こういう話をしてくれてちょっとうれしいとか思ってしまった。



なんでだろう…


別にコイツに興味なんてないハズなのに…





エレベーターが1階につき、エントランスに向かって歩く陽のあとを追う。



「……お前、まだついてくる気?」


「え!?あぁ…えっと…なんかここまでついてきたら最後までついてかなきゃいけない気がして…」


「どんな気だよ、それ。」



確かに…。



「…まぁいいけど。」



いいんだ!


ふーん…


めずらしく優しい…気がする。



エントランスを抜けて外に出ると、見覚えのある後ろ姿が見えた。


「……旭!」


あたしがそう言うと彼は振り返ってあたしたちを確認したあと、ホッとため息をついた。


「い、いた…。」


「もしかして…探してくれてた?」


「うん…」



旭は軽く肩で息をしている。


本当に陽を心配してたんだろうなってことが伝わった。


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