ふたご王子に恋をした
「……別に、決めてないけど。」



考えてなかったんかいっ!



「じゃあ、帰ってきたら?」


「あぁ?なんであんなとこに戻んなきゃ…」


「もう帰ったよ。」




……お父さんのことか。



「…気分がワリィんだよ。少しブラついてくる。」



そう言うと陽は頭をグシャグシャとかきながらどこかへ向かって歩き始めた。



結局あたしついてくとか言ってついてってないし…


陽の去っていく後ろ姿を見ながら旭が、



「…ふぅ。」



とため息をついた。



「さっきはお見苦しいところを見せちゃってごめんね。」



「え!?あぁ…いえいえ…あたしの方こそ立て込んでるときにお邪魔しちゃって、ごめん……」



「むしろ来てくれて俺はうれしかったけど。久し振りに会えたから。」


「アンタってどんな状況でもそのスタンスは変えないんだね…」



「あはは☆」


さっきの緊張感がまるでウソみたいに笑ってるし。




『優しくしたら嫌われない』


『認めてほしいと思ってる』



「……あのさ、旭。」


「なに?」


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