ふたご王子に恋をした
「なんで旭はお父さんにあんなこと言われてもそんなに冷静なの?」


「冷静?そうかなぁ…」


「だって陽と比べたら…」


「あぁ、そりゃあヒナと比べたら落ち着いて見えるだろうね。」



旭はクスリと笑った。


「でも俺だってあんなこと言われて平気なわけじゃないよ。色々思うところはあるんだけどさ…なんてゆーか…怒ったってしょうがないでしょ。」


「しょうが、ない?」


「あの人は、普通の父親とは違うから。面と向かって何か言ったところで何も変わらないよ。俺たちの関係は今と何も変わらない。」


「旭はそれでいいの!?」


「いいも何も、そうやって生きてきたから俺にとってはそれが当たり前だもん。何がいいとか悪いとか、わかんないよ…」



旭………



「…俺、間違ったこと言ってるかな。」



今にも涙がこぼれそうな大きくて潤んだ瞳の旭に見つめられたあたしは、黙って小さく首を横に振った。





軽い気持ちで安易なことは言えない。


これは踏み込むにはあまりにも深くて暗いものだと、そう思った。



だけど、


やっぱり考えてしまう。



本当にこのままでいいのかな…

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