ふたご王子に恋をした
「なにケンカしてるの?」


割って入るようにお母さんがデザートにスイカを持ってきてテーブルに並べた。



「どっちがいかに子どもかって話。」


三角形のスイカを手に取る。



「ふふっ♪お母さんにしてみたら二人とも子どもよ☆」


「でしょうね。」



のんきに笑うお母さんに、あたしは「ヘッ」と力なく笑って答えた。



スイカを食べつつテレビに目をやると情報番組が流れていた。


テレビついてると自分が興味ない番組でもボーッと見ちゃうんだよねー。



『……は、不況と言われる現在でも大幅に利益をあげている国内トップの貿易会社。そのビルは都心の真ん中にあり………』



「貿易会社ねぇ…」



そういえば市瀬父も貿易会社だっけ…



『そしてこの会社の社長が、市瀬光一、45歳………』




………………ん?


市……瀬!?



近くにあったリモコンを手に取りボリュームをあげつつ、あたしはテレビにかじりついた。



「……い、市瀬父!」


次の瞬間、画面に映ったのは紛れもない、さっき間近で見たあの市瀬父だった。


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