ふたご王子に恋をした
「なに?麻衣ちゃん、この人のこと知ってるの?」


「え、あぁ…まぁ…」



す、スゴい…
テレビで特集組まれるなんて、相当有名なんだろうな…


テレビの中での市瀬父は機敏に、そして的確に部下に指示を出し仕事をしていた。


その様子はさっき見たときと同じ、怖すぎるくらい冷静で迫力があった。



『市瀬社長は45歳ということですが本当にお若いですね!若さの秘訣はなんですか?』


ニコニコと女性アナウンサーが聞くと市瀬父は愛想笑いを浮かべ「そんなもの特にありませんよ」とそっけなく答えた。



『高校生の双子のお子さんがいるようには見えませんね。』



胸がドクンと脈を打つ。


双子の子ども…旭と陽のことだ。



『そうですか?そんなことありませんよ。』


『確か二人とも今は留学中でしたよね。』



「留学中!?」



思わず声を荒げた。



だ、だって留学中って……日本にいるっつーの!むしろとなりに住んでるっつーの!


『えぇ…まあ…』


市瀬父は小さくうなずいた。


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