ふたご王子に恋をした
「ふわぁ~…ねっむ。」


次の日、結局眠りにつけなかったあたしは日の出とともにベッドから起き上がった。


誰もいないリビングのソファーに座り、テレビをつける。


…この壁の向こうに二人がいるんだもんね。


改めて考えるとなんか変な感じだ…



しばらくボーッとしていると市瀬家からガタガタと騒がしい物音が聞こえてきた。


どうしたんだろ…



悪趣味と自覚しつつ、壁に耳をあてる。



「…なにやってんだろ、あたし。」



そうつぶやいたとき、ガシャン!と何かが落ちる音が聞こえた。



まさか………



また陽!?



あたしはパジャマのまんま飛び出すと、となりの市瀬家のチャイムを力強く何度も押す。



「はいはい、ちょっと待ってくださーい…………って、あれ?麻衣!」


扉があいて旭が驚いたように顔を出した。


「どうしたの?こんな朝早くから。」


「えっ?いや……ちょっと今スゴい物音が……」


「物音?……あぁ!ごめんね!うるさかった?」


「へ?えっと……」


「なぁ、掃除機って……げ!小泉!」



頭をポリポリとかきながら陽がのっそりやってきた。

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