ふたご王子に恋をした
突然後ろから肩を叩かれ、思わず変な声が出た。


「あ……」


あたしが手に持っていた手紙を見て旭がつぶやいた。



「あ!その、ごめん!勝手に見るつもりは…なかったんだけど………あの…本当に…ごめん………」



今さらながら自分のしていることが最低だと気付いたあたしの声は申し訳なさからどんどん小さくなっていく。


そんなあたしをかばうように旭はフッと微笑むとゆっくりとその場にしゃがみこんだ。



「いいよ、気にしないで。」



旭ってやっぱり優しい…



「…あれ……麻衣…泣いて…る?」



うつむいているあたしの顔をのぞきこんで旭がギョッとした。



「な、泣いてない!」


「ほっぺたに涙ついてますけど。」



そう言うと旭は優しく親指で涙を拭ってくれた。


ほっぺたにあたる旭の手の平は大きくて、あったかい……



「……麻衣。」


「ん?」


「麻衣は優しいね。」


全てを悟ったようにそうつぶやく旭に胸が高鳴る。



なにドキドキしてんだあたしッ!!




「…これねー…本当ウチのオカンいいこと言うよね~!」



沈んだ空気を明るくするように旭が言うと、パッと手紙を手にとった。

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