ふたご王子に恋をした
「お、お忙しいところすみません……」


「えぇ、全く。」



カンジ悪ッ!


市瀬父はお辞儀するあたしに目もくれず奥のソファーにどっかり腰を掛けた。



「こうやって息子たちの友達だと言って急に来られても、困ります。」


「す、すみません…」


「息子たちは留学しているということになっていますから…それで一体今日はどんな御用ですか?息子たちが何か迷惑でも?」


表情ひとつ変えず淡々と話す市瀬父。そんな父にあたしの心の中は怒りにも似たような気持ちが込み上げてきた。


「……あの、どうして二人を留学中ということにしているんですか…?」


「そのほうが色々と都合がいいからです。そういうことにしておけば下劣なマスコミもしつこく追いかけまわさないでしょう?色々とあることないこと記事にされて会社の品位を落とされては困りますから。」



だからって…
あんな扱い………



「あの二人にはホント困っているんですよ。前の学校でもあれこれ問題を起こして面倒なことをするし…あれだけ迷惑かけるなと言ってるのに……」


呆れたようにつぶやく市瀬父。


あたしの中で何かがプツッと切れた。


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