ふたご王子に恋をした



――あなたへ――


こうしてあなたに手紙を書くなんて何年ぶりでしょうね。


久し振りに書く手紙、なんだか恥ずかしいけれど、昔を思い出し懐かしい気持ちになります。



あなたは最後まで、あたしが旭と陽を産むことを反対していましたね。


あたしの身体を思ってこその反対だということ、もちろん分かっています。


あなたにこんなに大切に想われているなんてあたしは幸せ者です。


あたしはこの幸せをお腹の子どもたち二人にも感じてほしいの。


外の世界はとっても広くて、きらきら輝いている。


そして、


あなたを始め、まわりの人たちの優しさを知ってほしい、触れ合ってほしい。



あたしは、充分すぎるくらい大きな愛をもらいました。


思い残すことなんてないわ。



今度は旭と陽がその愛を受け取る番です。



どうか二人に大きな愛を与えてください。



愛してあげてください。


あたしがいなくなっても悲しまないで。


あなたのそばには、かけがえのない二人がいます。


寂しくなんてないはずよ?


旭と陽をよろしくお願いします。


これは、あたしの遺言であり、産まれてくる二人の願いです。


遠いところから見守っています。


――――――――――


「茜…………っ!」

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