ふたご王子に恋をした
昨日はここでイケメンにバッタリ会えたら…なーんてベタ的妄想を膨らませてたけど、実際遅刻するとそんなこと考える余裕ゼロ!


別にイケメンに会わなくてもいいよ!


そんなことより間に合うことのほうが大事!


しかも今月入ってから遅刻5回はしてるし、完全にツトムくんのブラックリストに入ってるし!


今日遅刻したらいよいよ本気で殺されちゃうよ!



鎖骨より下まで伸びたセミロングの髪の毛を振り乱し、一心不乱に走るあたしに可愛さのカケラなどない。



信号待ちで足を止めた瞬間、カバンの前のポケットに入れていたケータイがけたたましく鳴った。


マナーモードにするの忘れてた!



まわりのサラリーマンの冷たい視線を気にしながら電話を取り出す。


千夏からだ!


「もしもし!」


『あ、なんだ起きてんじゃん。』


「なんだってなんだよ!」


『この時間で学校来てないってことは、麻衣のことだから寝てるのかと思ってモーニングコール入れてみたんだけど。』


「遅いよ!」


『その様子だと、鬼のような形相で必死に学校に向かってる途中だね?』


「なんでわかるの!?」


『図星かよ。』

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