ふたご王子に恋をした
「なにニヤけてんの。」


「に、ニヤけてませんが…」


「いや、完全にニヤけてますから。」



そう言って千夏はあたしのほっぺたを力強くつねった。


「いたたた……!」



「まさか………旭だけじゃなく陽くんともイイ感じになったの!?」


「はあ!?なってないなってない!」


ブンブンと首を横に振る。


そもそも旭ともイイ感じになった覚えはないんだけど!?

なんか誤解してるよー!


「確かにそう言われて見れば…陽くんって麻衣ちゃんには特別優しい気がする…」


「優しい!?アイツが!?」



地蔵だとか、気持ちわりぃとかなかなか傷付くようなこと言われてるんだけどなぁ…



「今日だって数学のとき教えてもらってたし…」


「あぁ、あれはあたしから教えてって頼んだだけで…」


「でもあの陽くんが教えてって頼んで教えてくれるなんて…ねえ~?」


腕組みしたまま何か言いたげに千夏が紗結ちゃんと目を合わせた。


う~ん…


アイツが教えてくれたのはあたしを特別扱いしてるからとかではなく…単純によく知ってるから、てだけな気がする。


正直、席も家もとなり同士じゃなかったら話すことなんてなかっただろうし…

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