ふたご王子に恋をした
「わービックリしたー。」


「心こもってないじゃん。」


「はいはい。」


呆れたように聞き流し、歩きだそうとしたそのとき、



「…ちょっと待って。」



すれ違いざまに旭にガシッと腕を捕まれ、足を止めた。見上げた旭の顔はいつになく凛々しい。


大きくて透き通るような目はずっと見てると吸い込まれそうで、やっぱり、旭ってカッコいい………かも………


って!またあたし変なこと考えてるっっ!!あわわわっ…!



「な、なに!!」



ハッと我にかえり、力強く答える。



「あのね…親父が………今度一緒に母親のお墓参りに行かないかって…言ってくれたんだ。」


「へっ?」



予想もしないマジメな話にあたしは目をパチクリさせる。



「今までお墓参りなんてしたことなかったから…スゴくうれしくて………」



優しく微笑む旭。



「そっか…」



良かった…
やっぱりうまくいってたんだ。


あたしはホッとため息をつくと自然と顔が笑顔になっていた。



「良かったね!」


「…ヒナから聞いたけど、麻衣が色々親父に言ってくれたんだって?」


「えっ?あ……うん………」


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