ふたご王子に恋をした
(陽っ!準備はいい!?)


(はあ…なんで俺がこんなことを…)



そう言いながら気付かれないように幕の下から手を出す陽。



「えっ?ここに置けばいいのかな…」


「たぶん…だよね…」



そう言った瞬間、あたしはお札を置く棚から勢いよく顔を出して叫び、陽が足首をつかんだ。




「ギャーッ!」



女の子たちは血相を変えてバタバタと走り去っていく。



「やった☆成功したね!」


「…みたいだな。よっぽどお前の顔が怖かったんじゃん。」


「あたしだけじゃないってば!」



その後もまるで工場の流れ作業のように、同じやり方で驚かしていった。



お昼近くになるとピークも過ぎて人の出入りがまばらになり休む余裕が出来た。



「ふぅ…疲れたな…」


「俺は始まって数分で疲れてたけど。」



「早過ぎでしょ。」



「だりーんだよ、こんな役。」



フゥと大きくため息をつく陽。




「だったら引き受けなきゃいーのに。」


「……お前と…麻衣と一緒ならやってもいいかなって、思ったんだよ。」



……え?


今までとはまるで違う陽の穏やかな声に胸がドキンと高鳴る。


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