ふたご王子に恋をした
「……呼ばれてるぞ、行けよ。」



「でも……」



そこまで言いかけて陽の手があたしの頬に伸び優しく触れた。



「…また、今度…ちゃんと話せるときがきたら…話すから…。」



陽………



「麻衣……っとー…ごめん、お取り込み中…だった?」



幕をあけて千夏がやってくると、陽は黙って出ていってしまった。


「…ごめん、なんかマズい雰囲気だった!?」


「う、ううん!そんなんじゃないから…気にしないで。で、どうしたのっ?」



「あぁ、もう交代だってさ。紗結ちゃんも終わるから一緒にゴハンでも食べ行こうよ。」


「そうだね!行こ行こ!」





部屋が暗くて良かった…


多分今、気まずいのが分かりやすいくらい顔に出てるから明るいとこだったらなんかあったってバレてたかも…



ふぅ……


千夏の後ろで小さく息を吐くと部屋をあとにした。



まだ胸がドキドキと騒がしい……



あたしは旭のことが好きなのかな……


それとも陽のことが…………



…わかんないよ。



ふたりのことを考えるだけで、自分の中にある何かがモヤモヤと、そして確実に大きく揺らぐのだった。


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